目指せ、自転車星人!

何歳までも自転車生活

アタック会津3 600kmブルベ

沼田街道(R252)はスノーシェッド(雪避け)が多い。トンネルには照明があるが、スノーシェッドには義務づけられていないのだろう、外光を取り込む側壁の穴が開いているが夜間は真の暗黒である。自転車で走っているとクルマのことしか考えてない道路行政に腹が立ってくる。スノーシェッドの照明がないのはその最たるものだ。路面は、冬場のチェーン使用で荒れている。ガタガタする自転車におびえ、速度が上げられない。比較的振動吸収性のよいチューブラーでこんなありさまなのだ。クリンチャータイヤで参加している人はどんなに疲れるだろう。
雨が強くなってきた。走り続けていれば暑いので風邪をひくことはないが、西会津の手前でちょっとした登りがあるということだった。汗だけでも下りで冷えると消耗する。雨で濡れればなおさら。とあるスノーシェッドの出口で一旦止まり、雨宿りしながら1枚残しておいた薄手のウィンドブレーカーを着た。これはまだ新しく生地が傷んでいないので撥水性能は高い。この区間で何人か抜き、また抜かされた。結局一人のままだ。。。沼田街道を15.8km走って、側道っぽい感じのR400に逸れる。251.5km地点だ。ここの入口は狭い。先は真っ暗。本当にここに入っていっていいのか数分たたずんで考え、確認した。誰も来ない。「ええ~い、あと19.5kmで第3チェックポイントだ。さすがにそこは有人チェックであろう─そうでなければ怒るよ!。。。行くしかない。GO!」
雨のそぼ降る中、自転車で400番台の国道を一人行く。しかも峠越え。時刻は。。。2100!! クルマなんて一台も通らない!
ヘルメットの前から雨垂れが落ちてくる。標高500m弱だが登り。胸の前に集まった汗がおへその方へ流れ落ちるのを感じる。雨で湿度が高い分、体表から蒸発しないので発汗量が増す。だから水分をとにかく摂る。登り切ると黒沢という集落があった。自販機の脇の軒先で雨宿り。ボトルにスポーツドリンクを足す。「あと14kmくらい。雨だけど下り基調だしがんばろう!」と自分に声がけしていく。。。峠を越したら雨はやみ加減になった。

2200 第3チェックポイント到着。有人チェックだった。スタッフのIさんの顔を見てほっとした。途中のレシートを提出しブルベカードにサインを受ける。少しゆっくり休憩しよう。
チェックポイントのコンビニ軒下でレーパンのままたたきに転がって爆睡しているツワモノ男性がいた。風邪ひかないのかな~。リポビタンDアミノとかいうスポーツ系ドリンクを補給。仮眠所まで77km。。。集中力を切らさないようにしないと。
2230 一人でスタート。この区間にもゆるい登りが2回あるそうだ。一人で淡々とこなす。しかしここからはおおむねR49という二桁国道だ。路肩は広く走りやすい。ときおり大型車が通るが、赤色尾灯とヘルメットに赤色点滅灯をつけている。走り続けてさえいれば仮眠所に着ける。
下り基調になってから主催者の会員ジャージを着た車列が通り掛かった。信号で一緒になったので最後尾に着かせてもらう。巡航速度は25km/hくらい。これはありがたい。仮眠所に一人で行くより30分早く着けるな~と喜んで一緒に走ってしまった。しかし300km以上走ってきて、そういうことはしてはいけなかったのだろう。これまでにない疲労の上に負荷がかった私の脚は右ひざの周辺が痛みはじめてしまったのだった。途中の温度計表示は13℃が最低。
それでも猪苗代湖畔に向かっての下り基調、なんとか車列についていくことができ、無事郡山の第4チェックポイントを経て仮眠所にあてられた健康センターに到着したのであった。時刻は2700。
20時間風雨にさらされ寒暖の差の激しい屋外で過ごした後、暖かいロビーに入って最初の感想は「ああ~、文明のなかに戻ってきた気がする~」であった。外側の濡れた靴下を脱ぐ。シューズの中敷きを外し、少しでも乾きやすいようにした。サイクルコンピュータ心拍計レシーバー、ライト類とリアバッグを外して館内に持ち込む。荷物整理をするのとライト類は明日に備えて電池交換が必要だ。

1日目 348.1km 2740m上昇 8154kcal(20時間27分走行)

明朝0600出発予定。休憩時間はちょうど3時間。有効に使おう。
さっとお風呂に入って、館内着に着替えひとつだけ空いていた仮眠室の寝床に横になれたのは2750(午前0350)。あと2時間10分後には出発。携帯の電源を入れ、ネットに書き込み。心配してウォッチしてくれているダイエット仲間が私には大勢いるのだ。隣の女性はいびきが大きい。「348km走ってきた私より日常生活に疲れているのかな」。。。などと考えながら眠りに落ちた。

─腕が飛んできた。びっくりして目が覚める。。。。いびきの女性が寝返りを打ったようだ。寝相が悪いなぁ。普段きっと広いベッドで寝ているんだろう。。。隣がひとつだけ空いていたわけがわかったよ。。。私の前の人もここから避難したんだ、きっと。そして、驚いたことに時計を見ると15分しか経っていないではないか!!
彼女のいびきはさらに大きく(爆)。。。いびきくらいじゃこっちも寝るのに差し支えないけど腕はいやだ。。。目をつぶって眠ろうとしたが腕の襲撃に備えて身構えていると寝つけない。。。でも廊下で寝るのは嫌だし、せめて横になって身体だけでも休めよう。。。0450になった。携帯のアラームはバイブレーションのみで0500にセットしてある。10分くらい早く起きたって変わらない。準備に余裕があったほうがいいし。毛布を持って寝床を後にした。

6月7日(日)2日目

フロに入って1時間横になれた。眠れたのは15分間。。。あと260kmか。何とかなるであろう。
脱衣所のロッカーを開け、荷物整理。それからロビーの隅でライト類の電池交換に取り組む。ひとつは六角レンチを使わないと電池が交換できない。水密性能の維持のためか。少し時間がかかる。床のカーペットに座り込んだまま朝食。夕べの第4チェックポイントで買っておいたトマトのサラダとサンドイッチ。あんパンはバックポケットに入れる。
腰の曲がった八十代と思われるおばあさんが近づいてきて「これをお飲み」と言って元気ハツラツ・オロナミンCを差し出してくれた。ええ~、ここでもお接待!?
私の髪は染めないと前側の90%は白髪である。ブルベが終わってから染めようと思っていたので、この日は見かけでずいぶん高齢に思われたのだろう。
「フロントの人に聞いたら、あなた方600kmも走るっていうじゃない。いいから飲んで元気を出してお行き」と親切だ。四国でもそうだが、お接待をする人は自分の代わりに行ってほしいと思っているのだ。おばあさんは自分では行かれないが、比較的自分の年に近い同性の私に託したいものがあるのだろう。「ありがとうございます。あとでいただきます」と言って受け取った。
着替えて外に出る。今日はいい天気。瓶の重さが気になるので、思い切ってオロナミンCを飲んだ。でも本当はこんな早朝からドーピングしなくてもいいんだけど。。。

ドロップバッグの中に折り畳めるナップザックを入れておいたので、今朝送り返す荷物はそれに詰めて背負った。このすぐ先にコンビニがある。ナップザックを丈夫なビニール袋で封じ、コンビニから発送。また身軽になった。