目指せ、自転車星人!

何歳までも自転車生活

3/21 日光東照宮305km回想記(前編)

 20日(土)19時に仕事が終わり、用足ししながら川口にクルマで向かいます。。。高速で利根川を渡るときクルマが横に振られました。風が強いのかな? 午前の予報では明日の午後から強風だっていうことだったけど、これはちょっとヤバいんでないかい(汗)
 外環、なぜか川口で降り損ない荒川を渡って志木市へ。折り返し一般道で川口を目指します。まだ時間に余裕があるから大丈夫、、、冷静に昨年の埼玉1000の逆走ルートに乗り無事スタート地点へ到着。埼玉や栃木、千葉といったブルベで走ったことのある県では道に迷ったときはもっぱらブルベのルートに乗るようにしております(笑)

 さて、着いたのは23時前。すでに21日(日)午前0時発のイカした参加者が集まっている。受付が終わった顔見知りを見つけてはあいさつ。ブリーフィングの合間にクルマに戻って自分の出走準備とスタート前の腹ごしらえ。0時発の検車に付き添いコンメッソさん、masarinさん達のスタートを見送った。私はイカれた午前1時発。ゆっくり走るから、小来川(おころがわ)あたりでこの中の速い人とはすれ違うかもしれない。
 スタッフが「東京23区に強風波浪警報が出た」と言い合っている。でも1時発だけスタートさせないということはない。スタートしたら走るも止めるも参加者が自分で決めればよいのがブルベだから。
 
 ほどなく1時発の受付が始まった。エントリーリストの文字が異常に大きい。私はこのリストの末尾。え、たった紙一枚で収まっちゃうの? 「これしかいないんですか?」と動揺してスタッフに聞くと「1時発は15人です」との返事。。。0時発は75人満員御礼だったのに! 間違えてクリックしエントリーしてしまったとはいえ、これはいよいよド変態の仲間入りをしてしまったと気が滅入る。
 落ち込んでいる間もなくクニリンさんが到着。間違えた私に合わせて1時発にしてくれた豪気な女性である。そう、今日の全PCはノースタッフだし、たった15人での最終出走。本当の本当に最後尾になるかもしれないけど一人にはならないで済むだろう。なんて心強いんだ。
 もう一人の同行予定者チョンボさんはまだ来ない。しかしついったーによると一ヶ月ぶりの週末連休が取れ、今日は出走するという。チョンボさんは私同様『間違えて』1時発で申し込んだ気の合ったお人(爆) お互い安易なポチっとは落とし穴であった。ブリーフィングが始まって怪しい気配に後を振り向くとチョンボさんがおにぎりか何かを頬張りながら立っている。風のうなりに潜んでこっそり到着していたのである。。。

 検車を済ませ、ブルベカードにスタッフのサインを受ける。風はびゅうびゅう鳴り隣の中学校からの土埃がすごい。検車の邪魔にならないようダートの駐車場を出て道路でブルベカードをケースにしまったりグローブをしっかりはめたりしてスタート体勢を整える。数分で3人とも準備完了。「今日はよろしくお願いしま~す」とお互い声をかけてゆっくりスタート。
 前週に千葉300を完走し、実家との行き来に今日のルートの芽吹大橋までを頻繁に走っている私が先頭。毎日デュアスロン(ラン+バイク)通勤をしているクニリンさんが続く。チョンボさんは直近1ヶ月の練習時間が3時間(ローラー台含む)で、今シーズン初ブルベ(なのにいきなり300)だから脚が慣れるまで後で。
 風強いっす。でも快調。暗くてスピード計表示が見えないので、24時間は続けられるくらいの心拍ミドルレベルの感じで気持ちよく牽く。熟知したルートでキューシートとトリップ計リセットが必要ないというのは何て楽なんだろう。(実際この部分のキューシートは省いてきた) 
 20日午前7時と8時出走で同じルートを走った参加者が戻ってくるのとすれ違う。ベルを鳴らして歓迎する。楽しい。彼らが305kmを走り終えるのがちょっとうらやましく思えた。それに引き換え私たちは走り出して20分くらい。長い一日は始まったばかりだ。

 途中、酔っ払いのグループの一人が柘植の低い生垣に横たわり「いてぇ~!」と笑っているのに遭遇。ちょうど信号待ちで止まったところ。楽しそうにしているそのグループに手招きされる。無視するのもどうかと思い、いたずら心で「これから日光まで往復するので(そっちへ行かれなくて)すみませ~ん」と言ってみる。「日光!?何時間かかるんですか?」「制限時間は今日の夜9時までです」転がっていた彼も酔いが一気に醒めてしまったようだ。信号が青になって手を振って走り出すときにはグループ全員直立不動で見送ってくれた。ブルベを走っているとこういう出会いは楽しいものだが、びっくりさせてしまって悪かったかな。
 
 野田市駅を過ぎると醤油工場の間を縫って進む。その先はがぜん暗くなる。スポーツ公園のところから利根川堤防サイクリング路。風向は追い風ぎみ。「去年はここで夜8時過ぎなのに一人だったんだよ」。「街灯なんかないし夜ここ一人じゃ絶対いや」とかクルマが来ないので並んでわいわい言いあいながら行く。すると対向車が来るのがライトでわかった。動きに元気がない。もしかしたらここまでにすれ違わなかった朝スタートのkippouさんじゃないかしら、とスピードを緩めて見る。勘は当たり、想定していたクロスバイクではなくロードバイクを押して一人歩くkippouさんであった。今日も脚が痛んでしまったのか?8時スタートなら28時(午前4時)リミットだからあと2時間弱?走れればまだ時間内ゴールできる可能性がある。思わず「がんばれ!よっしーですよ!」と声をかける。後続がいて停まれないのでそのまま進むが、ここからずっと歩くようならkippouさんの時間内ゴールは厳しいだろうなぁ、と気にかかった。

 芽吹大橋が近づいてきた。渡って少し先のコンビニで最初の自主休憩をとることを申し合わせてある。もうちょっとだ。側道橋の上の強風に耐え、東詰信号で道路を渡った。ここからは昨年のルートと少し違う。『舗装路を道なり』というブリーフィングで注意があった地点だが、いとも簡単にミスコース。入ってはいけないと言われていたダートに十数メートル突っ込んでしまった。「間違えた~、手前を右だった」とわびて戻る。正しいルートに復帰し、ほっとした瞬間ワンワンと犬の声。近づいてくる。ノーリードの予感。畑を横切って番犬か野犬か、私たちの自転車を追いかけ吠えついてくる。
 『日本の犬は35km/hなら追いつけない』ということを城里町で何度も4~10頭の野犬に追われその都度振り切った経験のある私は知っているので余裕をもって犬をあしらっていたのだが、そんな経験のない(ある意味幸せな)他の人たちは最大戦速でマジ逃げ。45km/hくらいですっ飛んで行く。あっという間に漆黒の闇の中に消えてしまった。「待ってよ~」と真夜中だが叫んで必死に追いかける。こんな暗いところで一人になってしまったら。。。。「ブルベなのに何でスプリント???」(涙)
 
 ようやくスピードを落としてくれたようで県道に入る前で合流した。ほどなく最初の休憩ポイントのコンビニに到着。一息つく。
 腰がなくて強風で曲がり、後輪を削るだけになっていた泥除けを外し処分した。風が強い日でも信頼性の高い軽量の泥除けを工夫しなくては。。。やはり自作かな。
 長めの休憩を取り再始動。風は狂風警報といった様相を呈してきた。暗い先には土嵐の気配がする。何も植えられていない乾燥した畑の風下では目も開けていられないほどの土埃を含んだ横風が吹き抜けていた。5、60メートル息を止めて駆け抜ける。「ブルベなのに何で無酸素運動???」(涙)
 
 暗くてお互い顔が見えないからいいけど、汗と涙と鼻水に土ぼこりが張り付いてひどい顔だろう。早く次の自主休憩ポイントの道の駅思川(おもいがわ)に着きたい。。。などと考え込んでいたら道路の左端に飛ばされてきたらしい平べったい段ボール箱に気づくのが遅れ、乗り上げてしまった。「あっ!」ハンドルを強く握り締めたので手合図は無理。箱は空だったのか、つぶれてくれて事なきを得た。直後のチョンボさんも「あっ!」と言って同じ箱を踏みつぶす。もぉ~…どこまで似たもの同士なの(笑)
 土嵐のなか小さなランドマークの確認を怠りミスコース。しかし数名で走っている強み。知恵と勇気を合わせて基点に戻り、すばやく正しいコースに復帰する。風は最高潮(爆)、プラスチックのバケツやつぶれた空き缶が飛ぶように道路を横切っていく。風が吹くと桶屋が儲かるということかな、、、などとくだらないことばかり思いつくから睡眠不足の深夜ブルベは恐ろしい。。。

 間中(まなか)橋は1年前と同様架け替え工事中。その仮設橋は沈水橋っぽく欄干が低い。渡りだすとまったくタイミングよく突風が吹く。橋の風下側を走っていたら落水だ。
 そのちょっと先ではルートの農道を大きな倒木が完全にふさいでいた。梢が大きく乗り越えられない。都会者のみんなは「戻って迂回しよう」などと言っている。『天国への土手ラン』2年連続完走の私は闇のなかヘルメットのライトを点けて本能的に回避ルートを探す。脇は水のない田んぼ。「足が沈まなければ…」と自転車を抱え押してそっと田んぼに入る。滑らないように注意すれば大丈夫。みんな無事倒木をクリアした。先行者の轍が田んぼに見当たらなかったので、この木は私たちが通りかかる直前に太い幹の真ん中から折れて倒れたのだろう。もしかしたらさっきの間中橋での突風でか。倒れ掛かってくる最中(さなか)に居合わせなかったのは幸いであった。
 ほどなく道の駅思川。自転車を風で倒れない場所に置くのももどかしく洗面所に駆け込み顔を洗う。鏡で見ればやはり人前に出られる様子ではなかったorz...(後編につづく)